コンピュータの父と呼ばれるフォン・ノイマンは、ずば抜けた記憶力の持ち主だった。１０年以上まえに読んだ本でも、一字一句記憶しておくことができた。
　ＥＮＩＡＣ開発でいっしょだったハーマン・ゴールドスタインは、ノイマンの記憶力を試そうと、ディケンズの『二都物語』の書き出しをたずねた。
　ノイマンは間髪を入れず、『二都物語』の書き出しを語り、よどみなく暗唱し続けた。暗唱が１０分以上続いたところで、ゴールドスタインがあわててノイマンを止めた。