知られざる黒幕

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 IBMは機械式事務機のメーカーとして出発したため、コンピュータ・メーカーとしては後進だった。同社がまたたくまに業界トップに登り詰めた背景には、豊富な資金力があったといわれる。高い技術力を持ったユニバック社などのメーカーも、IBMの資金力にはかなわなかった。
 IBMの資金の源泉は、既存の事務機から入る、安定的なレンタル収入だったと信じられている。しかし実際に計算してみると、事務機のレンタル収入だけでは、当時のIBMの資金力は説明がつかない。それほど無尽蔵な金を、IBMはどこから得ていたのだろう。
 IBMには強力なパトロンがいた。それは、モルガン財閥系のプルデンシャル保険会社である。同社はIBMに対して、1951〜1958年末にかけて、2億9千万ドルの追加融資をしている。うち2億1500万ドルは、百年間の超長期貸付であったという。しかも、1958年末までの融資残高4億2500万ドルに対する貸出金利は、2〜3%と超低金利(当時のアメリカでは、5〜6%の金利が平均的)だった。IBMはタダ同然の資金を、返済期限を気にせず、無尽蔵に使えたのである。この融資期間は、IBMがユニバックなどを蹴落として、業界の頂点に駈け上がった時期と一致している。
 プルデンシャルにしてみれば、たとえ超低金利でも、安定的に利息が入ってくるのは魅力である。圧倒的な独占企業を育て上げて、末永くその上前をはねつづけようというのが、プルデンシャルの戦略であった。

※この文章はカゼの秀丸さまのご厚意でここに掲載させて頂きました。著作権はカゼの秀丸さまに帰属します。


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