ブック革命/電子書籍が紙の本を超える日
横山三四郎著
日経BP・平成15年
私は、電子書籍はまずパソコン関係の書籍等、分厚くて重たい本から始まると予想していたのですが、見事に外れたようです。携帯電話で小説を読むというところから普及していきそうです。
この本の第一章では、相次いで始まった携帯電話向けの電子出版について、説明があります。そして携帯電話で小説を読めるようになった技術的背景が語られます。そして、松下のΣブック、ソニーのリブリエ、東芝のSDブックといった読書端末の説明があり、素材を画像として表現する画像派と、テキストとして表現し画像も入れる事もできるものもあるテキスト派の対立について触れ、最後に日本の技術が他国をリードしているといった事を示して終わります。
第二章では、本が売れない状況にメスを入れています。最近、デジタル文字がアナログ活字文字を圧倒的にリードしている状況が示されています。
第三章では、作家達の動きについて触れられています。そして貸与権の問題に触れ、主にヨーロッパでの公共貸与権の現状が示されています。著作権や再販制度についても語られています。
第四章では、電子書籍コンソーシアムについて語られています。八億円の税金が注ぎ込まれて、結局潰れてしまうのですが、そこからいろいろなものが生まれたと著者の方は評価しています。
第五章では、本が(というより紙が)森林資源を破壊するという事に触れ、その意味でも読書端末は意味があると評価しています。
第六章では、電子図書館の話題に触れ、アメリカのマイケル・ハート、日本の富田倫生さんが紹介されます。 (たもも)