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 のちに伝説的存在となるデジタル・イクイップメント社(DEC)の社名は、苦肉の策の産物だった。直訳すると「デジタル機器株式会社」で、ここには「コンピュータ」という言葉がまったく使われていない。

 DEC創業当時のコンピュータ市場は、大型コンピュータが主流で、業界ではIBMが圧倒的優位に立っていた。ゼネラル・エレクトリックなどの既存の大企業でさえ、「IBMのお情けで息をさせてもらっている」状態だった。そのような業界に、無名の若者が新規参入するなど、常識では考えられないほど無謀なことだった。創業者のケネス・オルセンが社名に「コンピュータ」という言葉を使わなかったのは、
「コンピュータという言葉を社名につけたとたん、出資者が危ぶんで、一人残らず逃げてしまうから」
 だったそうだ。

 同社の地位を不動にしたミニコンPDPも、「プログラム・データ・プロセッサ」の略で、ここでもコンピュータという言葉が巧みに避けられている。プログラムとデータを処理する機械というのは、要するにコンピュータ以外の何物でもない。ずいぶん持って回った表現だが、これも同様の事情によるものだそうだ。

※この文章はカゼの秀丸さまのご厚意でここに掲載させて頂きました。著作権はカゼの秀丸さまに帰属します。


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