まだ生きてます

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 「デジタル・ゴッドファーザー」と呼ばれるJ.C.R.リックライダーは、多くのコンピュータ研究者を育て、歴史的なマシンの開発を指導した人物である。だが、その性格は飄々として、偉ぶるということがなかった。
 リックライダーはある晩、奥さんに頼まれて、徒歩で買い物に出た。近道するために墓地を横切ろうとしたが、たまたま掘ったばかりの墓穴があり、彼はそこに落ちてしまった。墓穴は深く、一人では這い出せそうもないとわかり、リックライダーは穴の底に座って脱出方法を考えはじめた。しばらくすると、また一人、墓穴に落ちてきた。男はパニック状態で大騒ぎし、リックライダーにまったく気づかなかった。度を失って騒ぐ男に、リックライダーは背後から声をかけた。
「おい、そんなに興奮するな。心臓麻痺を起こすぞ」
 男は悲鳴を上げ、リックライダーを蹴飛ばして、その反動で穴から飛び出していった。リックライダーを墓穴の主(亡者)だと勘違いしたらしい。蹴飛ばされたリックライダーは、顎の骨が折れたまま、墓穴で一夜を過ごした。

※この文章はカゼの秀丸さまのご厚意でここに掲載させて頂きました。著作権はカゼの秀丸さまに帰属します。


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