或る『小倉日記』伝

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 鴎外の『小倉日記』には、「パテント・ヤズ・アリスモメトール」という、歯車式手動計算機の話が出てくる。日本人の発明になるものだが、鴎外は詳細について触れていない。この機械は、普及せずに消えてしまった。アリスモメトールが発明されたのは明治時代のことで、有名な「タイガー式計算機」が登場する以前のことである。

 この「幻の和製計算機」に関心を持ったのは、IBM日本法人に勤務していた内山昭である。彼は勤務のかたわら、アリスモメトールの現物を探し続けた。出張先の古道具屋などをこまめに訪ね歩き、それとおぼしい機械を見つけると、買い取って丁寧に修理をした。

 ようやくアリスモメトールに出会ったときには、『小倉日記』を読んでから25年がたっていた。その間、彼は1000台の機械式計算機を蒐集・研究したという。

 内山は、パスカルが発明したという、世界最古の歯車式計算機「パスカリーヌ」も修復している。発明者のパスカル自身、操作法の複雑さにマニュアル作りを放棄したというパスカリーヌを、内山氏は博物館の依頼で修理し、完全に操作してみせた。

※この文章はカゼの秀丸さまのご厚意でここに掲載させて頂きました。著作権はカゼの秀丸さまに帰属します。


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